子ども時代を豊かに過ごすこと、その「豊かさ」は、モノや経済だけでなく、
心や体験、さまざまな世代の人とのつながりで生まれ、育まれると考えます。
先日、ティーンエイジャーの女性にお話を伺う機会がありました。
彼女には0歳のお子さんもいます。
小さな頃から家庭内でDVがあったそうですが、ほかの家庭を知らないため、
自分の置かれている状態が異常であることを知らず、ただただ我慢をしていた、
とのことでした。
第三者とのつながりがないと、自分が異常な環境にいることすら気が付かないという現実に、ショックを受けました。
彼女の妊娠は予期せぬ妊娠ではありましたが、望まない妊娠ではなく、
人につながり助けられながら赤ちゃんを産んで、自分も強くなったと話している
その様子に、胸を打たれました。
人とのつながりは、福祉のすそ野を広げ、窓口を役所の外に作ることにもなり、
アウトリーチとなることを、改めて思いました。
①さて、先日、京都府に子どもの貧困対策の視察に行ってまいりました。
京都府子どもの貧困対策推進計画の基本理念は、
子どもは「将来を担う社会の宝」という理念に立ち、すべての子どもが生まれ育つ環境に左右されることなく、その将来に夢や希望を持って成長していける社会の実現を目指す というものです。
- 学校をプラットフォームとした地域連携の推進
- ライフステージに応じた子どもへの支援
- 経済的支援
- 子どもの貧困の実態を踏まえた対策の推進
の、4つの重点施策があり、この4つの柱を総合的に推進していくというものでした。
この中で私が特に関心を持ったのが、「きょうと子ども食堂開設・運営支援事業」
です。
京都府では子ども食堂を、居場所やその他の福祉施策につなぐ入り口、
福祉のすそ野を広げるための場所と考え、子ども食堂の開設・運営を支援しています。
1回の補助金額は、会場使用料やスタッフ交通費、ボランティア保険、
周知・広報経費、食材が対応となり、補助率2/3で 1万円まで、
1団体上限150日。
また、開設費の支援も補助率2/3で、調理用備品・什器類、
軽微な建物修繕経費などを含んで、1回限り20万円上限となっています。
法人だけでなく、代表者が明らかで、事業運営及び会計事務が適切に行える
任意団体、極端にいえば、代表者、会計、運営の3人がいたら、
補助の対象としています。
知事の意向として、細かいことを言って、活動の意思のある人たちに
水を差すようなことはしないということです。
しかし、報告は必要で、書き方がわからない方には、
役所に書類を持ってきてもらい、一緒に書き方を教えながら、
書類を作り上げるという懇切丁寧なものです。
書類作成となると、慣れない人はそれだけで二の足を踏んでしまうことがありますが、活動し、福祉のアウトリーチを民間の人が広げてくれると考えれば、
プラスになることではないでしょうか。
板橋でも、これから子ども食堂に限らず、子どもや若者を支援する活動の場合は、
京都府のような活動する人に寄り添う姿勢で、
書類の書き方などを教えてくれる体制をとってほしいと思いますが、
いかがでしょうか。
②京都府は、子ども食堂は入り口のため、ハードルが低いですが、
次の段階の「居場所」の場合は、社会福祉法人、社団法人、NPO法人などとなります。
委託となるため10/10ですが、
夏休み・冬休み・春休みなどの年間15日で40万9千円、
週1日程度の年間50日では120万円、
平日の週2日程度・年間100日では490万円、
平日の週3日程度で年間150日では675万円と、
4通りの形態があり、開催回数が多いほど、支援額の割合も高くなっています。
この「居場所」には、学習支援と生活支援が含まれます。
板橋区内でも、毎日利用できる子ども食堂や居場所を作ろうという動きもあります。自治体が全てしなくても、志のある民間団体や個人が活動することに対して、
板橋区も自治体として何らかの支援をすることも必要ではないかと考えます。
板橋区にも、まなブースなど居場所機能を持つ場所はできていますが、
足りているとは言えません。
また、様々な形態を選択できることが、子どもたちの救いにもなります。
民間の居場所づくりへの支援について、どのように考えるのか、お答え願います。
- 京都府でもう一つ関心を持ったのは、若者の主体的な参加です。
京都は大学がたくさんあるので、大学生が支援を行う、
大学のクラブとは別の学生団体、また20歳代の若者を中心とした3名以上の者によるボランティアグループを、「子どもの未来づくりサポーター活動支援事業」として1団体あたり上限30万円を出して、支援しています。
板橋にも複数の大学があり、若者がいますが、地域にでての活動がうまく見えてきません。
学生のみなさんも授業だけでなく、アルバイトなどでお忙しいことと思いますが、
学生だからこそできる活動もあるのではないかと思います。
大学に呼びかけて、区とつながりを作りつつ、子ども支援に参加してもらうような取り組みができないでしょうか。