2月2日から12日まで羽田の新ルートにおいて実機飛行が行われました。
4年以上前からこの羽田の新ルートには問題があると思い、
取り組んできました。
2016年4月にも記事を書いています。
「知らないうちに頭の上を低空で飛行機が飛んでいたとならないように」と
ずっと思いながら取り組んできました。
しかし、実際には今回飛行機が飛んで初めて知ったという人が
ほとんどだったと思います。
とても残念なことです。
板橋区議会にも何度も何度もこの新ルートについての陳情が出されていました。
「まだまだ周知がなされていないから説明会を開催してほしい」
という知る権利について当たり前のような内容でも、
自民・公明・民主クラブは「不採択」としてきました。
ここで何が問題なのかをわかりやすく書いてみます。
【板橋の空が変わる】
3月29日から都心の空が変わることをご存知でしょうか。
15時~19時の間、羽田空港に着陸するために、板橋区上空の2ルートを、1時間に44便の飛行機がとぶことになります。高度も約1200mと、今までよりずっと低い位置を飛びます。
好天時(南風時)には、三園⇒成増⇒赤塚新町のコースを1時間に約14便、小豆沢⇒前野町⇒常盤台⇒小茂根⇒向原のコースを1時間に約30便の飛行機が飛ぶことになります。
悪天時(北風時)は、三園⇒成増⇒赤塚新町のコースは1時間に約30便飛びます。
2分に1便は、山手線よりも過密ダイヤになります。
【何が問題?①】
多くの方が気になるのが「落下物」。
成田空港では23件が報告されており、氷だけでなく部品の落下もあります。氷は解けてしまえばわからないため、実際はこの数字より多いと考えるのが自然です。
【羽田空港周辺の落下物は?】
国交省は、今までの羽田空港での落下物はゼロと報告しています。
しかし、3月28日までは「海から海へ」のルートが行われており、「同じことを行って、別の結果が起こるとは言えない」と元JALのパイロット杉江弘氏は言う。
便数に比例して起きるのが自然であり、それを否定したら科学を否定することになる、との指摘もあります。
【国の対策は?】
国の落下物対策についても、今回は「補償」を加えており、何かあった時には航空会社がお金を支払うものとなっています。
しかし、ルートを決めたのは国です。本来は国がきちんと責任を取るべきではないでしょうか。
【着陸時の角度が3、5°に ①】
昨年、着陸時の角度が3、5度と発表されましたが、このことにより着陸のために脚を出す位置が早くなると言われています。今までは都庁の辺りと言われていたものが1000mくらいのところで脚を出して、さらにその前で脚を出すと言われています。1200mから1000mは板橋区の上空にも当てはまります。
【着陸時の角度が3、5°に②】
さて、その3、5度について、国交省はサンディエゴも広島も稚内でも行っている、と説明しています。しかし、広島も稚内も超ローカルな空港であり、羽田空港と同列に扱うのはおかしいのではないでしょうか。同様にサンディエゴ空港は小さい飛行機ばかりで、原っぱの真ん中、実際は3度で降りてくるとのことです。
【旧香港空港と尻もち事故】
以前の香港の空港は街の中にあり、着陸の技術も難しい空港でしたが、それでも3、1°でした。先の杉江氏によれば、下を見ると怖くなるため高度を上げたまま降りて来て、最後に慌てて機体を下げようとして尻もち事故が起きていたとのことです。そのため、当時は香港を特殊空港として、タッチ&ゴーを何度も練習し、合格しないと飛べなかったそうです。
【尻もち事故と御巣鷹山の大事故】
その杉江氏が、都心のビルの上を飛ぶのは、パイロットは怖くて仕方がないと思うとのこと。3°での着陸は機械が、しかし3、5°は人間が目で見てやるしかないと言います。尻もち事故が多くなることが懸念されています。何度もこするから、飛行機のその部分の強度をあげているそうです。
御巣鷹山の日航機の大事故の原因は、尻もち事故の修理が原因と指摘されています。尻もち事故を侮ることはできません
【何が問題?②】
音に敏感な方や視覚障がいのある方への配慮について、国交省との交渉や説明会でも何度か伝えています。しかし板橋での騒音については、補償の対象外です。自宅で防音の対策をしても、何も補助はありません。また、自宅の周辺だけで活動するものではありません。安心して日々の生活を過ごすことができる環境をどのように担保するのでしょうか。
【板橋区内の騒音観測は?】
新たに航空機騒音測定局を設置する場所は、板橋区立赤塚第二中学校となります。
【危機管理の課題】
海外では、どんなに小さな町でも航空機事故に対しての防災計画が作られているそうです。
飛行機は離発着の11分間に事故が集中しています。その時間、羽田を離発着する飛行機はどこを飛んでいるのか。少なくとも国、都、自治体が連携して防災計画の中で、航空機事故対策を策定すべきです。