1、豊かな子ども時代を過ごすために
18歳未満の子どもの人権を保障する「子どもの権利条約」が国連で採択されてから 11月20日で30年を迎え、日本が批准してからも25年が経ちました。
また、板橋区はSDGs、そしてダイバーシティ&インクルージョンを推進しています。
SDGs17の目標のうち4番目は「質の高い教育をみんなに」で、ターゲットの初めには、「2030年までに、全ての子どもが男女の区別なく、適切かつ効果的な学習成果をもたらす、無償 かつ 公正で、質の高い初等教育 及び 中等教育を修了できるようにする。」とあります。
また、ダイバーシティ&インクルージョンは、多様性を認める社会であり、個人としての能力を発揮し、人権を尊重することであり、子どもの頃からお互いの違いを受け入れ、人権を尊重しあうことこそ、教育現場に必要だと理解しています。
以上を踏まえ、質問を致します。
①学ぶ権利について
子どもには学ぶ権利があります。
義務教育の義務は、「子どもが勉強しなければならない」という、子どもに対しての義務ではなく、「全ての子どもが学ぶことが出来るように環境を整える」義務がある、という意味での義務です。
今、日本中で不登校児童・生徒が増えています。
板橋区においても、不登校の児童・生徒は増えています。
そこには、様々な理由があります。
10月25日、文部科学省から「不登校児童生徒への支援の在り方について」の通知が出されました。
その中で、不登校児童生徒への支援に対する基本的な考え方として、支援の視点の中で、「不登校児童生徒への支援は、『学校に登校する』という結果のみを目標にするのではなく」と学校に戻すことが目標ではないことを明記しています。
この点についてお伺いいたします。
-1 板橋区では、この通知をどのように考え、また各学校には周知しているのでしょうか。
ー2 フレンドセンターでは、何を目的、目標として運営し、児童生徒を指導しているのでしょうか。
通知の中では、学校教育の意義・役割の中で、本人の希望を尊重したうえで、となりますが、「フリースクールなどの民間施設やNPO等と積極的に連携し、相互に協力・補完することの意義は大きい」とも指摘されています。
-3 板橋区でも、民間のフリースクール等に通っている、お子さんがいると聞いていますが、どのように連携し、相互に協力・補完しているのでしょうか。
不登校児童や生徒のいるご家庭では、ご家族の心配も大きく、そのご相談や悩みを伺うこともあります。
「学校に行かなければいけない」 ということに縛られて、悩んでいる方もたくさんいます。
今回の文科省の通知は、学校に戻ること、通うことだけが目標ではないことが明記されており、このことを保護者などに周知し、その上で、そのお子さんに一番良い方法を選択して行くことが必要です。
通知の中では、「福祉や医療機関等との連携」もあげ、訪問型支援による保護者への支援なども取り上げられ、気軽に相談できる体制を整えることが重要であるとの指摘があります。
-4 板橋区は保護者やご家庭に対して、どのように支援しているのでしょうか、
また「学校に行くことが目標ではない」 という周知が必要ですが、どのようにしているのでしょうか。
さらに、家庭への訪問型支援となると、教師の負担は大きくなりますが、それをサポートするための人員の加配はどうなっているでしょうか。スクールソーシャルワーカーの増員も必要と考えますが、いかがでしょうか。
現在は学び方も様々あり、板橋区はICT活用も力を入れています。
そのICTを活用して自宅で学習するなども、通知の中では「多様な教育機会の確保」として必要であることが指摘されています。
特に、中学校はその先に高校受験もあり、勉強は理解しているが学校に来ることができない生徒に対して、「評価」 をどのようにするかが課題となります。
「不登校児童生徒の懸命の努力を学校として適切に判断すること」と通知にも書いてあります。
-5 板橋区における多様な教育機会の確保はどのようになっているのか、お答えください。
日本の義務教育は9年間ですが、不登校となり、実質的に義務教育を十分受けられないまま卒業してしまうケースもあります。
そのような義務教育修了者が、改めて中学校などで学び直すことを希望した場合、板橋区には夜間中学がありません。
―6 板橋区では、どのように対応をしているのでしょうか。
「心の居場所」としての学校づくりを、通知の中でも挙げていますが、保健室、相談室や学校図書館などの整備も鍵となります。
教室には入れないけれども、保健室なら入ることができるという児童生徒もいます。
子どもの相談を受けたり、なにげない会話をし、受け止めるだけでも、子どもにとっては居場所となります。
一方、その他に体調不良の児童生徒への対応もあります。保健室の養護教諭の果たす役割が、とても大きくなってきます。
―7 養護教諭の複数配置、または養護教諭をサポートする人が必要と考えますが、いかがでしょうか。
池田市、世田谷区の公設民営型のフリースクールを視察しました。
子どもにとっても、保護者にとっても、そのような場所があることは、とても大事だと痛感しています。そして、どちらも希望者が増えており、今、社会はそのような場所を必要としていることを改めて思いました。
-8 板橋区において、現在はフレンドセンターがありますが、池田市や世田谷区のような、公設民営のフリースクールの設置の必要性を強く感じます。区は、その必要性をどのように考えているでしょうか。
また、すぐに設置できないとしても、現在ある「まなぽーと大原」 や 「まなぽーと成増」を、もっとフリースクール的に、日中の居場所として整備し活用することはできないでしょうか。是非、前向きな検討を お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
②子どもの居場所づくりについて
住みたくなる、そして子育てナンバー1を目指す板橋区。
板橋区の子ども食堂や子どもを支援する居場所が、区民の皆さんのご尽力によって増えてきました。
まさに、自分の子どもも、よその子どもも分け隔てなく、地域で子どもを育てるという取り組みです。
現在20か所ある、子ども食堂をはじめとする居場所は、すでに無くてはならない地域の拠点となっています。
会派で視察に伺った明石市では、小学校区に1か所以上の子ども食堂があります。
しかし、区内では地域によって複数の子ども食堂がある場所と、全くない場所があり、偏りがあります。
食事、また居場所を必要としている子どもたちのために、子ども食堂等を作りたいという思いを持っている人に対して、現在の支援では、まだまだ不十分だと考えます。
立ち上げるためには、什器備品等を揃えるための当初資金、衛生面では、食品販売衛生許可基準をクリアするために、調理場の改装が必要になります。商売を目的にするものでなくても、安心、安全な子ども食堂の運営には欠かせず、その負担は大きなものです。
また、区有施設を利用しての開催でも、利用料がかかります。
準備も含めると、時間帯が2つにまたがるなど、開催を持続すればするほど、負担は大きくなります。
-2 本来、区が行ってもおかしくない、必要とされる子どもへの支援を、区民が行っているのです。
財政支援について、区はどのようにお考えでしょうか。
一口に子ども食堂、子どもの居場所と言っても、開催頻度がそれぞれ違います。現在、東京都からは運営費の補助があるものの、上限が年額24万円です。
子どもたちが生き生きと生活するためにも、子ども食堂や子どもの居場所支援の充実を図ることは、さらに必要となります。
-3 開催頻度の多い子ども食堂には、実態に即した補助が必要と考えます。
どのようにお考えでしょうか。
板橋区は、コミュニティスクールを来年度から本格実施する計画とのことです。学校にいる子どもも、地域にいる子どもも同じ子どもですが、学校では見せない顔を、他では見せていることもあります。
また、PTAや青少年健全育成などの委員は、同じ人が兼ねていることもあり、全体の人数が減ることで個人の負担も増え、また限られたメンバーによる運営になる可能性もあります。
―4 コミュニティスクールを開始するにあたり、
子ども食堂や子どもの居場所支援に取り組んでいる地域の方も、運営のメンバーに入ってもらうことで、より情報共有ができ、活動が深まると考えますが、いかがでしょうか。
③子どもの権利擁護について
板橋区は、「(仮称)板橋区子ども家庭総合支援センター」の2022年度 開所に向けて、現在準備を進めています。
その中で、虐待などを受けた子どもを保護する一時保護所での、子どもの権利擁護が、とても重要になると考えます。
一時保護所において、保護されている子ども達への厳しすぎる生活ルールなどが、報道でも取り上げられ、子どもの権利擁護の視点からも問題となっています。食事の際にも、目を合わせてはいけない、合わせたらそこから会話が始まるから、など、驚くようなことが当たり前に行われている所もあると聞きます。
外からの目が入らず、閉鎖的な空間となってしまうことを防止するために、世田谷区は弁護士などの第三者委員を2人配置するそうです。この第三者委員が月に1度訪問し、子どもが困っていること等を聞き取り、職員の子どもへの対応改善などに繋げ、発達障がいやSOGIの子ども達への配慮が適切になされているか等のチェックもします。
さらに、外部評価も3年に一度行う等、子どもの権利擁護、権利の主体としての子どもの声をすくいあげるために、様々な配慮を考えています。
建物など、ハード面も大事ですが、このような子どもの権利擁護と言うソフト面が、虐待などを受けてきた子どもたちにとっては、とても大切であり、重視すべきことと考えます。
板橋区はどのように考え準備を進めているのでしょうか。お答えください。
④「いたばし子ども未来応援宣言2025」についてです。
高齢者に対しては地域包括ケアが行われていますが、同じように、子ども・子育てに対して、地域包括的な考え方が必要だと考えます。
-1 区は、「育ちのエリア」として、保育施設間のネットワークや、小学校への接続を考えていますが、いつから行うのでしょうか。お答え願います。
2017年の合計特殊出生率は、全国で1、43、東京都は1、21それに対し、板橋区は、1、18と、さらに低くなっています。
「誰一人取り残さず、未来を担うすべての子ども・子育て家庭を応援します」が、板橋区の掲げる応援宣言ですが、この数字は、「東京で1番住みやすいまち」とは、相いれないもので、子育てしづらいまちであることの現れでは、と危惧します。
―2 この原因と分析なしには、「誰一人取り残さず、未来を担うすべての子ども・子育て家庭を応援」するために、今、何が不足しているのか、何をすべきなのか、また区が描くビジョンが見えてきません。
区は、この原因と分析を、どのように考えているのでしょうか。お答えください。
以上、大人の都合でなく、子どもにとって最善の利益がもたらされる事業となることを、切に要望します。
この項の質問は以上です。