「命を守る行動を」
確かに「自己責任」のように思えて、不快かもしれません。
FBの中でも、あちこちでそんな意見を見ます。
でも、ちょっと考えてみてください。
災害時は、誰もが災害に遭っていて、お客さんは誰もいません。
みんなが当事者です。
大きな災害ほど、当事者は増えます。
一人ひとりが自分事にしないと、助けきれません。
例えば、板橋区の危機管理室、30人もいないと思います。
でも、区民は56万人。
土木やその他職員が災害時も本務業務だといっても、圧倒的に足りません。
「助けて」と電話すると すぐに自分を助けにきてくれる・・・
それは、残念ながら映画かドラマの話でしか できないことだと思います。
そして危機管理などは、現場に出向くのではなく、
災害対応の指示を出すところですから、動くことはできません。
東日本大震災の時、津波にのまれて亡くなった方がたくさんいました。
地震から津波まで時間がありましたが、
正常バイアスが働いてしまいました。
人間だから、どうしても正常バイアスが働いてしまいがちです。
私だってあやしいものです。
でも、そんな中でずっと避難を呼び掛けて、
津波にのまれて亡くなった若い女性職員がいました。
なぜ、そこまで避難を呼び掛けたのでしょうか。
それは、避難しない人がいたからです。
一人でも多くの人を助けようとしたのです。
介護関係の職員さん、消防団、消防士など、たくさんの方が、
逃げ遅れたり、逃げることを拒否した人を助けようとして亡くなりました。
本来なら亡くならなくても済んだ人たちで、
生きていたら、災害のあとも率先して活躍して下さったことでしょう。
とても大事な人材をたくさん失う結果となりました。
西日本豪雨の時にも、避難情報が出されていたにも関わらず、
逃げた人は本当に少なかったと調査報告されています。
そこには、やはり正常バイアスがありました。
「自分事」として考えた人がとても少なかった事がわかります。
そして、たくさんの方が亡くなりました。
失わずに済んだ命です。
助けに入って下さる人も、他人の危険を背負い込み、危険と隣合わせです。
仕事なんだから、当たり前と言えるでしょうか。
まずは、一人ひとりが自分事として考えてほしいと願っています。
「自分事として考える」のと「自己責任」は、違うと思うのです。
今、社会が何でも「自己責任」化しているので
「またー!」と思う方もいるかもしれません。
でも、まずは自分が助からないと、他の人を助けることもできません。
本来なら一番に助けに行きべき所に行けなくなります。
そういう意味だと思っていただければ、
「命を守る行動を…」に対しても、少しは腹が立たなくなるのでは…と思います。
そう願いつつ、書いています。
そして、自分ごととして対応をする人が増えてくれることを祈っています。
その上で、本当に自己責任にならないよう、
国には事前防災についての取り組みを更に進めることを求めたいと思います。
現場は自治体であり、自治体が災害対応しますが、
その自治体の支援をしっかりとすること、
支援の出し惜しみをしないことを徹底してほしい。
これから、異常気象による災害はもっと増えるでしょうし、
首都直下型地震や南海トラフ地震なども予想されています。
大きな試練が待っているのです。
他の国とケンカしている場合ではありませんし、
他の国が要らないものを買っている余裕もありません。
災害のあとに、復興のために予算を使うなら、
今のうちに減災のために事前防災にもっと真剣に取り組むこと、
その予算をしっかり確保すること、
これが今の日本には、とても大事なことだと思います。