日々、区政の改革を目指し、区政運営へ取り組まれていることに敬意を表します。
アメリカ大統領選挙の結果を受け、予想されるアメリカとの関係の変化、またTPPによる日本が受けるであろう多大な影響など、これからの日本の進む方向や日本のみならず世界的な経済の変動に、不安を抱える今日です。
昨年に続き、板橋区の財政は、決算はプラスに転じたものの、景気の指数は思うように伸びず、アベノミクスでプラスに転じているのは一部の大企業や個人のみで、大多数の人にとっては生活が苦しくなったという実感のみが募ります。
増税はされたものの、本来の目的である社会保障の充実は、後退しています。介護保険の値上げ、要支援1、2の切り捨て、共働きをせざるを得ない収入と、若者の貧困、そのために結婚すらできないという現実、奨学金の問題などなど、どの世代も生きづらさを抱え、今まで当たり前と思われていた人生設計にすら影響が出ています。
注目されている「子どもの貧困」は「子どもを育てる世帯」の貧困であり、子どもだけが貧困なわけではありません。また、経済だけでなく、時間、情報、関係性の貧困と、目には見えないさまざまな貧困を抱え、子育てをしています。
また、裏を返せば女性の貧困でもあります。
格差がますます広がり、多くの区民が今の生活が決して豊かであるとは感じていません。
そんな中で、区政の健全な財政基盤を確立するために、貴重な財源を、現在・未来に渡って活かしていく堅実な取り組みが、これまで以上に強く求められています。
子どもを持つ家族、これから子どもを持とうとする若い世代は、待機児問題が喫緊の課題となっています。板橋区は昨年も待機児対策に取り組みましたが、現状に追いついていない状況があります。板橋区の子どもの人数は幸いにしてこの先も増え続けるというデータ(実数)も出ています。その未来を担う子どもたちを育てるのは、親でもありますが、社会でもあります。少子超高齢社会に突入した今、安心して働きながら、子育てができることが、板橋区の未来にとって、大事なことです。
一方、高齢単身、夫婦のみ世帯は増加の一途をたどっています。障がい者を抱える家庭も含め、地域とのつながりも薄れ、「孤独死」という言葉に象徴されるように、地域で孤立し、日常生活や医療・介護に不安を抱く高齢者、障がい者も増加する一方です。
要支援1、2の支援がはずれ、介護のための福祉器具使用の補助にも制限が加わりました。家族の負担がますます増え、「自己責任」という言葉が大きくのしかかります。老々介護、地域での見守り、安否確認など、介護する側のレスパイトケアも含めたサポートが更に必要となります。
さまざまな意味で、地域でのつながりや支援が、ますます必要とされます。地域の多世代の人たちが繋がりあえる居場所作りも大切です。
子育ても介護も、決して個人で解決できる問題ではなく、社会としての問題として取り組むことが必要です。
板橋区は来る人口減少社会に向けて、区有施設の削減、区立小・中学校の統廃合を進めています。しかし、現実には人口も、子どもの人数も増えており、まだしばらくの間は増え続けるとの予測も出ています。小・中学校をはじめとして、削減をしばらく遅らせるなど、机上の予測に沿ったプランではなく、重視すべきは現実に沿った対応ではないでしょうか。
高島平グランドデザイン、板橋・大山・上板橋の再開発などのまちづくりにおいても、真摯に区民の声を聞き、誠実に対応をし、区民が「自分たちの街」と誇れる「まちづくり」を、地域に住む人達とともにすすめることを求めます。
2017年度予算要望編成にあたっては、板橋区の現在・近い将来・将来を見据え、区民に本当に必要とされる集中と選択をさらに深め、生活の安定を重視し、高齢者問題はもちろん、将来を担う子どもたちを大切にする施策展開を積極的に行う財政運営を行うことに光をあてています。
戦後71年目の今年、安保法制度、南スーダンでのPKOによる駆けつけ警護、自治体の自治権にも関係する辺野古の問題など、改めて平和や自治についてしっかりと考える時です。
恒常平和を謳う板橋区は、憲法の服務規程を改めて確認し、「平和を実現する」という意識のもと、戦争の惨禍を語り継ぎ、日々区民の生活が平和に保たれ、人権が守られるよう努力して欲しいと願います。
この予算提案は、「ひとこと提案」という形で、広く区民にアンケート調査した結果に基づいています。予算編成に是非反映していただきますよう提案いたします。
区民の暮らしに直結する板橋区予算に対して、区民は大きな期待を寄せています。
特段の配慮をお願いいたします。