通告に従い、市民クラブが 一般質問を行います。
1、HPVワクチンに対しての板橋区の姿勢について
質問に先立ち、板橋区のHPにおける「HPVワクチン」のサイトにおいて、以前は積極的な接種勧奨をさし控える中でも、どうしたら接種ができるかの説明に重きを置いていた書き方から
「HPVワクチンの接種は積極的にお勧めしていません」
と、冒頭に大きく見出しを立て、また
接種をお考えの方は、ワクチンの有効性やリスクを十分にご理解したうえで、接種を受けるかどうかを判断してください。
と、接種にはリスクがあることが明確な書き方に変えて下さったことに、感謝致します。
質問に入ります。
昨年、板橋区が主催する講座の中で「思春期ワクチン」と銘打って、HPVワクチンが一方的に推進されるということがありました。
昨年の第3回定例会、決算総括質問と、2回にわたり、私はこの件について問題があるとして取り上げました。
保健所長からは、
「推進したものではない」という答弁がありましたが、実際に講座を聞いて
いた私には、推進としか受け取れない内容でした。
配布した資料も、「まずワクチン、次に健診」というもので、これでどうして推進ではないと言えるのか、理解することができません。
2013年6月4日の 私の一般質問に対しての区長からの答弁は
「接種対象者と保護者が接種前にワクチンの効果、副反応および接種後の検診の必要性を理解した上で接種の判断をする必要があると考えます」
というものでした。
そこで伺います。
Q1、
この区長よりいただいた答弁は、ワクチンによるメリットも、副反応を含むデメリットも、両方の情報をきちんと伝えることが大事である、という見解であると理解致しますが、いかがでしょうか。
【答弁】
最初は、HPVワクチンに対しての板橋区の姿勢について関連致しまして、2013年6月の区長答弁についてのご質問であります。
HPVワクチンにおきましては、以前にもお答えしたとおり、接種対象者と保護者が接種前にワクチンの効果、副反応及び接種後の検診の必要性を理解した上で接種の判断をする必要があり、メリットだけではなく、副反応を含むデメリットもあわせて、両方の情報を適切に伝えることが必要であると認識をしております。
Q2、
次に、去る11月9日、
「子宮美人になるための婦人科レッスン」
という講座が、女性健康支援センターにより開催されました。
参加した方から、講座の中で講師が一方的なHPVワクチンの推進していたが、ワクチンの積極的な接種勧奨が再開されたのか、という問い合わせがありました。
最近の厚生労働省ワクチン副反応部会においても、HPVワクチンの副反応として認定がなされるなど引き続き審議がなされています。
厚生労働省は「積極的な接種勧奨は差し控える」としたままと認識していますが、なにか動きがあったのでしょうか。
また、板橋区では厚生労働省とは別に独自に推進することにしたのでしょうか。お答え願います。
【答弁】
次に、厚生労働省と異なる推進方法をとることについてのご質問であります。
HPVワクチンの接種については、ワクチンの接種後にワクチンとの因果関係を否定できない持続的な疼痛が見られたことから、定期接種を積極的に勧奨しないよう、平成25年5月14日付で厚生労働省から全国の自治体に勧告がございました。板橋区では、この勧告を受けワクチンの積極的な勧奨は行わないこととし、区のホームページ等でHPVワクチンの接種は積極的にはお勧めしていませんと周知をしております。現在におきましても、厚生労働省の勧告に基づく区の考え方については、変わりがないものと考えています。
Q3、
産婦人科学会や小児科学会などが、接種の再開を求めていますが、厚生労働省は未だに積極的な勧奨を再開できないでいます。
先日の板橋区の「子宮美人になさるための婦人科レッスン」という講座の中で、講師は「HPVワクチンは 副反応報道のために接種する人がいなくなった」と言っていたようですが、接種を控える原因を、区はマスコミの報道によると考えているのでしょうか。
【答弁】
次はHPVワクチン接種が控えられている原因についてのご質問です。
板橋区のHPVワクチンの接種状況につきましては、平成24年度には延べ4313回でありましたが、平成27年度には延べ17回と著しく減少しております。このワクチン接種の減少につきましては、マスコミ報道の影響もあるとは考えられますが、主な原因としましては、平成25年の厚生労働省からの勧告に基づき、各自治体が積極的な接種勧奨を行わなくなったことによるものと考えています。
Q4、
講師は、講座の中で
「毎日10人の子宮頸がん患者が亡くなっている」
と繰り返していたといいます。
以前調べた時には、10代、20代で子宮頸がんで亡くなる方は少なく、年間約2700人の子宮頸がんで亡くなる方の約6割は、60歳以上の高齢者というデータがありました。
しかし、今回の講師の話し方では、年齢を明確にせず、話の流れからも、あたかも若者にたくさんの子宮頸がんによる死亡者が出ているようにも 受け取られ かねないものでした。
誤解の無い正確な説明が必要と考えますが、最新のデータでは、10代、20代の若者は、子宮頸がんで、年間 どのくらいの方が亡くなっているのか、お答えください。
【答弁】
次は、10代、20代の若者の子宮頸がんでの年間の死亡者数についてのご質問であります。
最新のがん登録統計によりますと、平成26年の全国における子宮頸がんの死亡者数のうち、10代での死亡者は皆無で、20代は23人でございました。
Q5、
講師は、
「高校1年生でHPVワクチンを接種するのがベスト」 と言い、「副反応はほぼ改善でき、これで死ぬことはない」 とまで明言し、また「副反応はすぐに治る、針刺しが問題」 など、副反応の症状についても、あたかもとても軽いものであるかのように話し、多くの被害者が、どんなに苦しんでいるかは全く触れていませんでした。
しかし、私が知る限り、治療法はまだ確立されていません。
だからこそ、自宅に近い病院ではなく、関東からも、わざわざ鹿児島や長野など遠い病院まで行って、治療を受けているのです。
6年間も副反応に苦しみ続け、一時期症状が改善され始めていたかに見えていたにもかかわらず、今、また悪化している方もいます。
副反応のために、進みたい学校に進学することも諦め、せっかく入学した高校や大学を辞め、将来の夢を諦め、方向転換を余儀なくされ、また仕事も辞めざるを得なくなってしまった方がたくさんいます。
一日に、何度も何度も意識を失い、また、そのような娘を目の当たりにする親の気持ちはいかばかりでしょう。
また、救急車で運ばれても、副反応のことを伝えると病院に治療を断られたり、その日一日を何事もなく普通に過ごすことさえも、困難になっている被害者も たくさんいるのです。
本人だけでなく、その家族も介護、補助するために仕事を辞め、人生が変わってしまっています。
そのような、未だに症状が改善されず、苦しんでいる被害者の中の3人は、この板橋区の区民です。
その他に、未だに報告すら上げられずにいる人がいることも忘れてはいけません。
講師のいうように、副反応がすぐに改善できるのなら、今すぐに手を尽くして連絡を取り、治療法を伝え、元通りの身体に治すべきです。
貴重な青春、人生の一日一日を、早く取り戻してあげるべきです。
9月の一般質問でも取り上げた酵母アレルギーのこともあるため、HPVワクチンの接種には十分注意することが必要ですが、その情報も担保できているとは思えません。
一方的な推進の情報しか与えられていない方が、接種する判断を、講座での話の下に行うことに、懸念を致しますし、接種して何かあった場合は、区の責任と言われても仕方がないと思います。
講座に参加した人に対して、せめて区のHPに書かれている副反応についてや、区内に副反応で未回復の方が居るという事実も伝えるべきと思いますが、いかがでしょうか。
【答弁】
次は、講座参加者に誤解がないよう副反応などの事実を伝えることについてのご質問であります。
HPVワクチンの接種を積極的に勧奨しないとする区の考え方について、誤解を招くような講師の発言があったとすれば、参加者に誤解が生じないよう区の考え方を正しく伝え、理解していただく必要があると思います。しかしながら、今回の講座参加者全員の特定は困難であるため、区のホームページの女性健康支援センターを紹介するページ等において、ワクチン接種における副反応などを紹介するとともに、HPVワクチン接種に対する区の考え方について改めて周知を図っていきたいと考えています。
Q6、
今回の講師は、女性健康支援センターで相談にあたっている医師でした。
そのような立場にある方が、区が開催する講座の中で板橋区の考えとは別に、あたかも副反応は軽くて、すぐに治るような情報を出し、かつ、厚生労働省も未だに積極的な接種の勧奨を控えているワクチンを勧めるというのは、問題です。
ワクチンは自治事務です。
板橋区に責任が生じます。
板橋区のワクチン行政について、深く理解していただいたうえで、職務にあたっていただくことが、たいへん大切だと考えます。
また、今回の一連の発言は、現在、副反応に苦しみながら裁判を起こしている63人、そしてこれから第二、第三の裁判を予定している方たち、未だに厚労省に報告を上げられずに苦しんでいる人、またそのご家族や関係者に対しても、たいへん傷つける内容です。
それが、板橋区を冠にいただいた講座の中で話されたことは、大変残念であり、厚労省や区長の示した方針から、現場が逸脱してしまっている事態は、まことに遺憾です。
このようなことを二度と繰り返すことのないよう、職員や講演会の講師には、区の方針や考えを理解するために研修をするなど、実態に即し、苦しむ人に寄り添う行政の現場として欲しいと思いますが、いかがでしょうか。
【答弁】
次は、苦しむ人に寄り添う行政の現場とすることについてのご質問であります。
講座やセミナーについては、講師に講演の趣旨や区の方針を十分理解していただき実施する必要があると考えます。特に女性健康支援センターが実施する講座やセミナーは、女性の健康や病気に関するセンシティブな内容が多く含まれるため、今後も公私との事前調整の徹底を図ってまいりたいと考えます。また、職員につきましても、区の経営方針や組織目標を十分に理解をして、もてなしの心を体現し、区民に寄り添った区政運営を行うよう研修などを通じて人材育成にも努めていきたいと缶上げています。
Q7、
この項の最後です。
日本でこのワクチンの導入を始めたとき、20年後に子宮頸がん患者を減らすことを目指して導入したと聞いています。
このワクチンの接種効果がどのようなものか、最後に改めてお伺いいたします。
【答弁】
次は、ワクチンの効果についてのご質問であります。
子宮頸がんは数年から数十年にわたり持続的にヒトパピローマウイルスに感染した末に発症すると言われております。HPVワクチンは新しいワクチンであるため、子宮頸がんそのものを予防する効果については、まだ確認がされておりません。しかしながら、ワクチンが対象としているウイルスによる持続的な感染を防ぎ、がんの前段階の病変への罹患リスクを90%以上減らすことができると報告をされており、これに引き続いて発症する子宮頸がんについても予防効果があると期待をされているものであります。
今日のこの質問は、全国の被害者連絡会の方々も中継をご覧になっています。