2、羽田空港への新飛行ルートについて
羽田空港機能強化に伴い、2020年を目標に、羽田空港への着陸時の新たなルートが 4月に示された。
C滑走路着陸時、南風の日の15時~19時、板橋区上空4000フィート(約1200m)、小豆沢から入り、常盤台を通り、向原へ抜ける まさに板橋区を横断するルートである。このルートは1時間31機。
2分に1機となり、まさに山手線以上の過密ダイヤである。
この他に、A滑走路着陸のために13機の飛行機が成増・赤塚の上空を飛び、2つのルートを合わせて1時間44機の飛行機が板橋区上空1200mを通ることになる。
現在、羽田空港を出発する飛行機は、板橋区の上空を北風時に6000フィート以上の高さで毎時約4回、南風時に1万1000フィート以上の高さで、毎時約6回飛行している。
新しいルートの高さは、現在の南風時の3分の1の高さとなる。また、新ルートは着陸時なので、エンジン音は静かだとはいうが、天候によって雲など、音の反響の仕方は変わり、南風の日は春や秋など気持ちの良い季節で、窓を開けている日も多いと予想される。
また、飛行機は離陸後3分、着陸前8分以内に事故が集中して起きているそうです。まさにその着陸時に、この世界でも類を見ない、人口密集地を広範かつ低空で飛び、羽田へ降りていくことになる。
- 羽田空港の機能強化について、23区区長会において了承しているという風に聞いているが、いかがか。
答弁:23区長会では、羽田空港の機能強化について説明を受けたという状況。区長会ではないが、平成27年1月の関係自治体である都県の副知事や、政令都市の副市長などが参加する国主催の首都圏空港機能強化の具体化に向けて協議会においては、特別区長会会長が、首都圏空港の機能強化は2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を控え、大きな課題であると認識しており、交通の便をよくすることは必要不可欠である旨、発言している。
- また、最初の提案と今回の提案の違いは、飛行ルートだけか。
答弁:C滑走路利用の飛行ルートについては、当初案では南風時の15時から19時までの間、着陸の際、赤塚―成増上空を通過する案だったが、今回提案された案では、同じ高度で小豆沢から向原上空を通過するルートに変更になっている。また、A滑走路利用の飛行ルートについては、当初案では、着陸の際3000フィートの高度で区外を通過する案だったが、今回提案された案では、4500フィートの高度で赤塚―成増を通過するルートに変更されている。
- 区内を通過する飛行機の数は1時間にピーク時44本と聞いている。
飛行機は電車や車とは違い、1本の線上を飛ぶのではなく、ルートには幅があると、元日航パイロットの方に伺った。
ということは、示されている線上だけではなく、板橋区の上空の広い範囲を飛行機が飛ぶということである。
板橋区における騒音は、どのような影響があると考えているか。
答弁:今回の提案では、好天時の15時から19時の間、着陸の際、時間あたり、A滑走路、C滑走路合わせて合計44回、板橋区の上空を通過するものである。現在、板橋区内の上空を6000フィート以上の高度で時間当たり4回飛行しているが、今回の提案では4000フィートまたは4500フィートと飛行高度が低くなり、回数も増える。
新飛行ルートによる影響については、国の資料によると、4000フィート上空の大型機の騒音は約68デシベルとされているが、地上でも幹線道路際の騒音は70デシベルから80デシベル、街路沿いの住宅街の騒音は65デシベルから75デシベルとされており、どのような影響が出るか、現時点では想定することが困難であると考える。
- ある日、気がついたら頭の上を、頻繁に何機も飛行機が飛んでいた…とならないように、まずは区民への情報の周知が大切だと思う。
今回、新飛行ルートへの変更の説明会について、区民にどのように周知をはかったか。
また参加者は何人だったか。
答弁:新飛行ルートの国による説明会の区民周知については、町会連合会への説明、5月28日の「広報いたばし」への掲載、55ヶ所の公共施設へのポスターの掲示などを行うとともに、区のホームページでも周知をはかっている。特に上空が飛行経路となっている8つの支部については、回覧板や町会掲示板においての周知や町会長、自治会長への説明会の案内を送付するなどしている。
国による説明会は、6月3日、4日には教育科学館で、6月6日には成増アクトホールで開催されているが、参加人数については、現在、国に報告を求めている。
こんなにも密集した東京の上空を、しかも低空で飛行機が1時間に44機も飛ぶ状態が発生するというのは、本当に大丈夫なのかという心配の声が聞かれる。
- 他の空港への振り分けを申し入れることはできないのか、伺う。
答弁:羽田空港の機能強化は、成田空港を含む首都圏の機能強化の一環として、国際競争力の強化や外国人旅行者の受け入れ、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会への対応などを目的としていると認識している。このため、今回の羽田空港の機能強化にかんする国の取り組みは、成田空港を含む首都圏空港の機能強化であり、首都圏以外の空港への振り分けは困難であると考えられ、申し入れすることは現在考えていない。
成田空港周辺では、毎年複数の落下物事故の報告がある。
昨年も4件の落下物事故があった。
現在、氷の塊や部品の一部、オイルなど、落下物による事故を避けるために、本来は木更津あたりが車輪を下ろすタイミングのところを国交省の「勧告」に従って海上に出てから、いわゆる足だしをしている。
新しいルートでは、これが都内上空となりますが、そのポイントがどこになるのか、はっきりせず、また他の区上空だったら良いというわけでもない。
また、自動車も事故を起こしますが、航空機の事故の場合、それとは比べ物にならない程の事故につながりかねない。
また、低空のため航空機トラブルがあった場合、密集地では逃げ場がない。
これは危機管理でもあることを、区は理解すべきである。
区民の危険回避のためにも、慎重な対応と、安全対策を第一とすることを望み、この項を終わる。